ユーミンと帝劇― そのかつてないコラボレーションが大好評を博した『8月31日〜夏休み最後の日〜』(2012年)につづく、待望の新作が決定しました。帝国劇場10月公演 Yuming sings...『あなたがいたから私がいた』
今回主演には、女優の比嘉愛未(27)が抜てきされました。演じるのは、戦時中に運命的な恋をして青春時代を過ごし、戦後、大きな秘密を抱えながら伝説のダンサーとなっていく女性。ユーミンは劇中、ストーリーに合わせて持ち歌を披露されます。
こちらでは、ユーミン帝国劇場での千秋楽管理人レポをお届けします。2014年ユーミンの帝国劇場第2弾に乞うご期待を!
千秋楽案内板 |
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とうとう最後26公演目がきたと実感するも、始まってしまえば早いなと感じるのは私だけ?初日はオーディエンスの緊張も重なってもあるが、千秋楽は熱気がすごい。
レポはいつものようにと思ったが、芝居と歌とオーディエンスの脳内に響く感動とが合わさってそれぞれに感じてほしいとの演出家の意図から、個人的に気づいたことをまとめていきたい。ニュアンスやMCの違いなどあるが、ご容赦願いたいと。
第一幕 |
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17:03幕が開いた、第一幕のはじまり
最初のMCで「ようこそ、千秋楽の帝劇へ。〜」決まった言葉であるが、ユーミンにとって帝劇千秋楽はどのような感じ?と考えてしまう。考えると、じんときて涙してしまう。
中盤に学生時代の園子・春子・栄一が櫻の木の下で、絵を描いているシーンがある。本当に楽しそうな雰囲気が伝わってきた。このシーンが焼き付いていれば、第2幕の教会シーンはすごく悲しくなる。そしてこの中で、園子がダンスをする。ちょっとだけだが、すごく輝いて見えた。園子がダンサーを目指していることをイメージされるには、ピッタリのシーンだった。
第1幕最後は、感動だった。
空襲のあった日、園子と栄一は春子と逸れて2人きりになる。栄一は園子に自分に対する気持ちを確認するが、園子ははぐらかす。栄一が喧嘩ごなしに言いよると園子も同じように。しかし気持ちが同じだと分かったとき、2人は抱き合う。そして前奏が始まると唇をかさねあう。せつなくはかない純愛。園子と栄一の関係が、充分に伝わってくる場面であった。直後の「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ」が、胸に響く。
第二幕 |
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第2幕「守ってあげたい」あとの教会シーン
現代の園子が高橋牧師より絵を手渡されたあと、倒れ病室で寝ているシーンに変わる。そこに医師が登場しているが、手を後ろに組んでいるだけで喋らず下手にさがっていく。手の組み方などで想像すると、演出家だったんだろう(笑)。たぶん・・・
そしてお葬式のシーン
第1幕の最初に出てくるが、最後はここに戻ってきた。亡くなった園子の息子で喪主の挨拶が始まる。息子役の石黒賢の芝居の深さが、途中から感動に変わった。「〜母の中に私がいて、私の中にも母がいて〜」のセリフあたりから、石黒が本気で泣いている。その感情がオーディエンスに伝わって、回りが涙している。すぐの「Forgiveness」は、下手からユーミンが登場しセンターで客席方向に向かう。ユーミンの目に光るものが見える。潤んでいるように見えるのだが・・・そして歌の途中、頬につたわっていくものがあった。つられてオーディエンスも、涙した。
そして最後「春よ、来い」
櫻の木のバックには映像ではあるが、満開の桜が映しだされる。演奏が一瞬止まりユーミンが「春よ〜♪」と歌う直後に、キャスト・ダンサーがターンテーブルに入ってきて円に沿ってスタンバイ。テーブルが回りながら、舞台の上から桜の花びらが舞っている。圧巻であったが、福田 沙紀がずっと泣いていた。
その後のキャスト・ダンサー・バンド紹介では、渡部 豪太が伊勢賢治を紹介後、横に並んだ瞬間にハイタッチ!
比嘉 愛未がユーミンを紹介したあと、横一列になって手をつなぎ一礼。その間にオーディエンスは立って拍手のカーテンコール。キャストなど全員が顔を上げた瞬間、ビックリと満面の笑みだった。
帝国劇場 |
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そしてオーディエンスの鳴りやまぬ拍手の中、ユーミンが一人で登場
MC「本当にありがとうございます。演劇の力と音楽の力とそして帝劇の持つ力と。でも何より皆さんの思い出の力が加わって魔法をかけることができました。観に来て下さって、本当にありがとうございました。」そして一人で「卒業写真」を歌うも、2番目前に上手から比嘉 愛未・福田 沙紀・石黒 賢、下手から藤 真利子・渡部 豪太の順番で登場、それぞれの後方にはキャストとダンサーも一緒に登場。歌の途中では全員の合唱があって、最後のフレーズは比嘉 愛未が「あなたは」福田 沙紀が「わたしの」渡部 豪太が「青春」全員で「そのもの」の歌唱で終わった。
歌い終えたユーミンは、藤真利子と抱き合った。オーディエンスの鳴りやまぬ拍手を確認したように見えた直後、マイク無しで「ヤッタ!」と叫んでいたのがわかった。
大看板 |
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まだオーディエンスの鳴りやまぬ拍手の中
ユーミン、キャスト、ダンサー、バンドメンバーが再び登場。先頭には、演出家松任谷正隆がいる。横にはユーミンが。松任谷さんの下手側には藤 真利子・渡部 豪太・入絵 加奈子、ユーミンの上手側には比嘉 愛未・福田 沙紀・石黒 賢が並んでいた。そしてキャスト・ダンサー・バンドメンバーの後ろには舞台スタッフが整列。ユーミンは一人ひとりに握手と抱擁。退場前にドラム加藤久幸のちょっとした行動が、オーディエンスの笑いを誘っていた。
そして上手へ下手へキャスト・ダンサー・バンドメンバーが退場するも、ユーミンが一人残る。ユーミンが下手のスタッフに合図を送っている様子が一瞬わかったが、スタッフからの指示によって一旦下手にさがった。
ラストシーン |
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まだまだオーディエンスの鳴りやまぬ拍手の中
ユーミン・比嘉 愛未・福田 沙紀・渡部 豪太の4人が登場。下手側から、渡部 豪太・ユーミン・比嘉 愛未・福田 沙紀が並ぶ。「ごめんね、平均年齢あげて」ってユーミンが話すと、オーディエンスの笑いを誘った。ユーミンがマイクを渡部 豪太に託した。一人ずつの挨拶が始まったのだ。
まずは渡部 豪太「田口栄一役を演じさせていただいた、渡部 豪太です。短くまとめさせていただきます。〜」内容は、バンドやスタッフにお礼の言葉。松任谷さんには、役を与えてもらったお礼。ユーミンには曲と人との繋がりのお礼のことばであった。
次は福田 沙紀。「大道福子を演じさせていただきました、福田 沙紀です。〜春よ、来いのとき、出ていく前にスタッフが背中を押してくれて〜〜そして皆さん、千秋楽。ハロウィンなのに来て下さってありがとうございます。〜」内容は、母に対する感謝、ユーミンの歌を小さいころから聴いていた思い出など。
そしてW主演の比嘉 愛未「2人ともこんな素晴らしいことを云って、本当に緊張します。春日井園子を演じさせていただきました、比嘉 愛未です。〜」内容は、今年初めて舞台をふんでこれが2回目。この舞台では震えて怖くて不安だった等
最後はユーミン「今日出てくるときの気合い入れで云ったんですけど、9月頃練習で全員顔を合わしたときに、これは皆でご来光を見るツアーだなって思ったんです。本当に今日観ることができました。ご来光って何かというと、皆さんの想像力なんだよね。だって、ここに卓袱台だけあったり帝劇では考えられないミニマムです〜。本当にありがとうございました。」
大きな大きなたくさんの拍手に送られ、4人は下手へ。ユーミン帝劇公演「あなたがいたから私がいた」26公演全てが終わった。